こんにちは、毛髪技能士の今泉です。
9月に入りようやく涼しくなってくることかと思いますが、今年の夏は、1951年の統計開始以降最も早い梅雨明けだったと言われる異様に早い幕開けと共に、全国各地で観測史上最高気温を記録するなど、まさに猛暑の夏となりました。
そんな酷暑が続いた夏ほど頭皮には深刻なダメージが蓄積されて、身体と同様に髪も頭皮も「夏バテお疲れモード」になっています。
よく「抜け毛の秋」という言葉を耳にすることがありますが、今回はなぜ秋には抜け毛が増えるのかを説明していきます。
暑さが和らいでほっとひと息、なんて油断していると危険なのがこの季節。夏から秋への変わり目は1年で最も頭皮の老化が加速する時期なんです。
日本は世界的に見ても美白大国。好んで肌を焼く人はほとんど見かけなくなりました。日光は「光老化」つまり加齢による老化ではなく日光(紫外線)によって皮膚のコラーゲンが破壊され、皺やシミ、肌の老化につながると問題視されているからです。
あまり注目されていませんが、実は頭皮にとっても紫外線は大敵です。頭皮のコラーゲンは髪に必要な栄養素になっていますので、そのコラーゲンが破壊されることで、髪の成長は妨げられます。それだけではありません。紫外線を浴びた頭皮は炎症を起こし、その状態を正常に整える為に大量の皮脂を分泌します。その後は極度の乾燥が襲い頭皮はカラカラに干上がったような状態になります。頭皮が痩せて髪が痩せるだけでなく、肌トラブルにも発展しやすくなる危険な状態です。適度な日光浴は、人間のバイタリズムを整え免疫力を高める生命にとって大切なものでもありますが、実際頭皮に限って言えば百害あって一利なし。できる限り避けたい紫外線ですが、実は身体の中で最も浴びやすいのが「頭頂部」なのです。肩や鼻の頭など、太陽光線を面で受ける部位が赤くヒリヒリとした日焼けをしてしまった経験はありませんか?身体の中で最も広い面で紫外線を受けてしまうのが「頭頂部」。髪にボリュームがなく頭皮が露出してしまっている場合など尚更です。
顔の肌に比べてケア意識が低く考えられがちな頭皮ですが、本当は顔と同じ繊細で敏感な皮膚。しかも紫外線の影響を受ける量としては顔の6倍ともいわれています。頭皮に受けた紫外線は、皮膚を極度に乾燥・硬化させて薄毛や抜け毛の原因になります。また、白髪の原因にもなると言われています。
夏でもエアコン乾燥するの?って思いがちですが、実はこの季節に危険な頭皮の老化を進めてしまう原因の一つ。エアコンは室内の空気を一度取り込んで、冷媒で冷やしてからもう一度部屋内に戻しているわけですが、この過程で空気中の水分がとられ、室外へと伸びる排水ホースから排水されています。さらにエアコンの吹き出し口からでる冷たい風は、頭皮表面の水分を局地的に奪い、皮膚は収斂して肌はみるみる乾燥することとなります。肌が敏感な人であれば、皮膚がピリピリして痛いという感覚を伴う事もあります。
老化トラブルは夏の間は症状として現れませんが、時間がたったこの時期から徐々に表面化してきます。ここでのケアを怠ると、頭皮の乾燥を加速させ、頭皮をますます固く硬化させる原因になります。シャンプーの役割は頭皮の汚れを落とすもの。シャンプーだけでは潤いは足りませんので、頭皮のパックができるスカルプコンディショナーでしっかりと保湿パックをして、頭皮を修復してあげることが老化を防ぐカギとなります。
特にこの時期、夏に蓄積したダメージに、季節の変化による気温や湿度の低下が追い打ちをかけ、頭皮の乾燥も加速されます。顔のケアは化粧水や美容液で保湿&補給をするのに、頭皮のケアには目が向かない…なんてことはありませんか?頭皮も顔と同様のケアをする必要があります。抜け毛の増えやすいこの季節には、頭皮のケアにも特に意識して、スカルプエッセンスでしっかりと栄養補給&保湿をしてあげることをおすすめします。
「抜け毛の秋」と呼ばれるこの季節ですが、秋に起こりやすいのは抜け毛だけではありません。頭皮の赤みや湿疹、フケや痒みといった頭皮トラブルが出やすくなる季節でもあるのです。そんな時にありがちな失敗が、「シャンプーのせい?」「育毛剤のせい?」と頭皮トラブルの原因をヘアケアに直結させて、使い慣れたケア用品を替えてしまうこと。もちろん少しでも肌にあった良いものを選ぶことは重要なことですが、普段のケアを変えてしまったせいで症状を悪化させてしまうことも。秋の抜け毛と肌トラブルの原因を正しく理解して、落ち着いて適切な対処を心がけてください。
秋は1年のうちでもっとも抜け毛が増え、髪の量が減るシーズン。通常1日50~70本の抜け毛が秋には200~300本に増えます。抜け毛の増加から髪量が最も少なくなる10月~11月には、「このまま薄くなってしまうのでは」と不安を抱く方も多いと思いますが、秋に抜け毛が増えるのは、動物の毛の生え替わり現象の遺伝子が人にも残っているため。生え変わることで次の健康な髪を沢山養っている時期でもあるのです。誰にでも起こる自然現象ですので、焦らずきちんとしたお手入れを続けていくことが肝心です。
一概には言えませんが、今までと同じケアを続けていたのに、痒みやフケ、赤み、頭皮湿疹などの症状が出てしまった場合、それは季節的な要因が大きい可能性が高いです。夏の間に蓄積したダメージが、時間がたったこの時期から徐々に表面化してきます。それに追い打ちをかけるかのように、季節の変化による気温や湿度の低下が頭皮の乾燥状態を加速させ、肌トラブルを起こさせやすくなるのです。この時期に起こりがちな症状でこちらも一定の時期だけで問題で解決するケースが多いので、焦らずしっかりとした保湿ケアを続けることが重要です。
いかがでしたか?ただでさえ、季節の変わり目で生理的現象的にも抜け毛が増えたり、かゆみや湿疹が出来たりしやすいこの時期のケアを怠れば、頭皮の老化は加速的に一気に進み、寂しい冬を、芽生えの薄い春を迎えてしまいます。
今こそしっかり意識的なケアを心がけましょう。