「ヘアサイクル」という言葉を聞いたことがあるでしょうか?
薄毛や抜け毛に限らず、髪の毛や頭皮に関わるトラブルの主な原因としてあげられるのが「ヘアサイクルの乱れ」です。
ではそもそもヘアサイクルとは何か、乱れたヘアサイクルを正常化する方法について解説をしていきます。
髪の毛は1本の毛がずっと伸び続けるものだと思われがちですが、すべての毛の1本1本が伸び続けているわけではありません。
伸び続ける髪の毛の方が圧倒的に多いものの、伸び続けるものもあれば抜けていくものやダメージなので切れてしまうものなど、途中で頭皮からなくなってしまうものもあります。
このように髪が伸び、一定の期間が経つと抜け落ちて、また髪が生えるという周期のことを「ヘアサイクル」といいます。
ヘアサイクルは大きく分けて
の3つに分かれています。
この3つのサイクルが長い時間をかけて髪の毛を入れ替えていきますが、実際に頭皮の上ではどのような変化があるのか詳しく見てみましょう。
髪の毛の生命の中で最も長い期間を占めるのが成長期です。
成長期は毛根で髪の毛の細胞が活発になる期間です。
そのため、髪の毛がどんどん伸びていきます。
また、髪の毛になる前の段階では、毛根の中で毛母細胞と呼ばれる髪の毛の細胞が、髪の毛になろうと硬くなる段階でもあります。
この毛母細胞が「頭皮の中で細胞分裂して髪の毛になり表に出てきて、細胞がどんどん作られて伸びていく」というのが髪の毛の成長期です。
毛母細胞の寿命が終わりに近づき、細胞分裂のペースが少しずつ落ちていくのが退行期です。
細胞分裂のペースが落ちるので髪の毛は伸びるのが止まってしまい、成長が止まる準備をしています。
ちなみに、髪の毛の約1%がこの退行期にあたります。
髪の毛の成長が完全に停止し、脱毛が始まる期間です。
休止期になった髪の毛は抜けるための準備をしようとするため、徐々に髪の毛の毛球部分が表面に向かって移動してきます。
そして、その下では新しい髪の毛が生えてくる準備をし始めます。
髪の毛全体の15%前後は休止期です。
そのため何もしていなくても抜けてくる髪の毛やドライヤーやブラッシング、シャンプーなどの過度な力で引っ張っていないにも関わらず抜けてくる髪の毛の多くは休止期の髪の毛と言われています。
日常生活の範囲で抜けてくる髪の毛は、この休止期で自然に抜けているものです。
異常に抜けてくるようでなければ気にする必要はありません。
日常の生活で髪が伸びて来たなと感じれば、何気なく髪を切ると思います。
多くの方は数ヶ月単位で美容院に行くため、髪の伸びるサイクルも美容院にいくペースと同じくらいと思われています。
しかし、髪の毛1本1本を見ると実は髪の毛の成長しているサイクルは思っている以上に長いです。
上述した3つのサイクルごとに伸びるスピードは人によって異なりますが、多くは下記の通りのサイクルで髪の毛は生まれ変わっています。
成長期 | 3~5年 |
---|---|
退行期 | 2~3週間 |
休止期 | 2〜4ヶ月 |
成長期 | 4~6年 |
---|---|
退行期 | 2~3週間 |
休止期 | 2〜4ヶ月 |
このように比べてみると、男女によって変わるのは成長期のスピードだけです。
男性の場合は女性に比べて1年ほど短いですが、それ以外の部分はほとんど変わりません。
髪の毛の伸びるスピードは途中でカットしてしまうため気にすることは少ないかもしれませんが、1本単位で見てみるとざっくり5年ほどです。
100歳まで生きるとしても20回しか髪の毛は生まれ変わらないので、意外と髪の毛は長生きしているものなのです。
毎日しっかりシャンプーをして健康的な生活を送っていれば、体質や遺伝が無い限りはヘアサイクルが乱れてしまうことはそうそうありません。
しかし、ストレスや偏った食事、生活リズムの変化などによってヘアサイクルは思っている以上に簡単に乱れてしまうこともあります。
ヘアサイクルが乱れてしまうと、どのような症状があるのか理解しておきましょう。
ヘアサイクルが乱れてしまうと症状として現れやすいものが抜け毛です。
「抜け毛」と俗にいう「ハゲる」の違いというのは曖昧なものですが、抜け毛というのは「いつもよりも抜ける本数が多い」程度だと考えてください。
抜け毛も多すぎると髪が薄くなっていきいますが、対策をしていけば改善できるようになります。
男性型脱毛症と呼ばれているものがAGAです。
AGAは男性ホルモンの過剰な分泌によって起こります。
ホルモンの分泌が多すぎて髪の毛の成長が抑制されてしまい、髪の毛が徐々に細くなるのと同時に新しいものが生えなくなります。
特に前頭部から頭頂部は男性ホルモンの影響を受けやすくなるため、おでこの上から少しずつ後退していくように薄くなっていきます。
びまん性脱毛症は比較的、女性に多い症状です。
出産や更年期障害などの女性ホルモンの影響によって起こります。
AGAと違って頭頂部が薄くなるという症状であることが特徴的です。
円形脱毛症とは、ストレスが原因によって髪の毛の一部が丸く抜け落ちてしまうことです。
円形脱毛症は突然なることが多く、1箇所だけではなく複数箇所にできてしまうこともあります。
広範囲の場合は髪全体だけではなく、眉毛や脇毛まで影響する可能性もあります。
治療で治ることがほとんどですがストレスが原因ですので、ストレスとなっている根本を解決しなければ再発する可能性もあります。
ヘアサイクルはちょっとした要因で簡単に乱れてしまいますが、ほんの少しの気遣いで簡単に正常にすることも出来ます。
日常生活の範囲内でヘアサイクルを正常に戻すためのポイントを8つ紹介します。
ヘアサイクルを正常にするには、毎日するシャンプーの仕方を見直すのが一番です。
頭皮は日光や外気に常に晒され、汗や汚れが思っている以上についています。
そのため、シャンプーは頭皮の環境を清潔にするために非常に大切です。
ただし、間違えたシャンプーは頭皮を乾燥させたり保湿機能を低下させる原因にもなってしまうので「正しい」であることが大前提です。
ヘアサイクルが乱れてしまう原因の1つに、頭皮の血行が悪いことも考えられます。
定期的に頭皮のマッサージをすることによって血行を改善し、ヘアサイクルを正常に戻せるように頭皮に働きかけてください。
血行を改善できればヘアサイクルの改善も見込むことが出来ます。
肩こりもヘアサイクルを乱してしまう原因になることがあります。
肩は体と頭をつなぐ首の近くにあり、リンパや血管など色々と流れている部分です。
肩がこっていると血流も悪くなり、頭皮へ悪影響を与えることもあります。
頭皮のマッサージと一緒で定期的に血流が良くなるようにマッサージをしてあげると良いです。
人の体は栄養の良い食事を取らなければ維持できません。
髪の毛も体の一部ですので、もちろん栄養は必要です。
ですので、バランスの良い食事を心がけるようにしましょう。
摂取しにくい栄養などはサプリメントで補うのも良いでしょう。
特にヘアサイクルの改善を意識するのであれば、ミネラル成分の多いものを摂取するようにすればよいです。
不規則な生活リズムだったり、睡眠不足だったりするとヘアサイクルにも影響が出てきてしまいます。
なるべく一定の生活リズムになるよう、夜更かしはしすぎないように意識しましょう。
また「睡眠の質」という部分にも多少はこだわってみても良いです。
何年も使っているマットレスや高さの合わない枕は、一度新しいものに買い替えてみるのもひとつの手段です。
ストレスの溜め込みすぎはヘアサイクルを乱すだけではなく、円形脱毛症などの原因にもなります。
「何だかストレスが溜まってるな」「パーッと憂さ晴らしがしたいな〜」と思ったら思い切って気分転換をしましょう。
好きなことをするも良し、ぼーっと過ごすも良し。
思い思いに好きなことをやって日頃の鬱憤を爆発させてしまいましょう。
タバコはヘアサイクルを乱す原因です。
原因はタバコは血流を悪くするためです。
適度なお酒は血流が良くなるのでよいとされていますが、タバコは吸うたびに血行を悪くします。
ヘアサイクルを悪くするだけではなく、健康にも良くありません。
ヘアサイクルや抜け毛で悩むのであれば、まずは頑張って禁煙を試みましょう。
適度な運動は血流を良くすることによってヘアサイクルを変化させることができます。
ストレッチやウォーキングなどの体に負担をかけすぎない運動でも充分なので、適度に運動するようにしましょう。
運動はヘアサイクルだけではなく、ストレス発散など色々な要素からもヘアサイクルの改善を狙えるのでおすすめです。
ヘアサイクルについて解説をしました。
髪の悩みはヘアサイクルを見直すと改善されることも多いです。
正しいシャンプーや適度なマッサージなど、ヘアサイクルを改善するためには日常生活で意識するだけでだいぶ変わります。
まずはできることから初めてみてはいかがでしょうか?