こんにちは、毛髪技能士の横溝です。
人は髪の毛の質感で見た目の印象はとっても変わります。「あれ?最近疲れてる?髪の毛がバサバサでいつもよりツヤがないけど…。」なんて友達に言われたことがありませんか?ハリ・コシ・ツヤは健康的な髪には必要不可欠なもの。逆に髪の毛が元気であれば実年齢よりも若く見えたり、健康的な生活を送っていると思われるのです。毛髪トラブルは枝毛や切れ毛などたくさんの種類があります。今回は毛髪トラブルの種類と原因について説明します。
毛髪トラブルといってもその種類はさまざまです。ひとりひとりの体調や環境により状態は異なり、そのトラブルを招く原因にもいろいろありますが、一般的には傷や火傷などの外傷から始まり、理・美容室の仕事に直接関係するブラッシングやドライヤーの熱などの物理的な刺激も毛髪トラブルを招く原因となる場合があります。さらに、アルコール、パーマ液、ヘアダイ溶液等が様々な毛髪トラブルを引き起こすこともしばしば見受けられます。一方、私たちの普段の生活を振り返ってみると、さまざまな要素が重なりあって毛髪に悪い影響を及ぼしているようですが、空気汚染、細菌といったことも、トラブルの原因として考えられます。まずは代表的な毛髪トラブルについて説明していきます。
枝毛は裂け毛の一種で、粗雑なレザーカット、逆毛、過度の乾燥、アルカリ破壊、髪の栄養不足などがこのトラブルの原因です。髪が長い場合に多く、毛先に集中します。中には毛幹から数か所枝を出し、ススキの穂状になるものもあります。乾燥性の頭皮の人に多いとされており、その部分はカットするしかありません。
毛は本来横には切れにくいのですが、切れ毛は引っ張るとプツンプツンと切れます。かなりの損傷が長い期間積み重なって生じると考えられます。コールドパーマ・ヘアダイ・熱処理などもこの原因とみなされています。なお、結節性裂毛症にみられる切れ毛もこれに含まれますが、円形脱毛症でいう切れ毛はまた別のものです。
毛髪裂症ともいい、毛の中間や断端が縦に長く裂けているもので、毛の縦の結合繊維組織だけが残っている状態です。もともと毛は横よりも縦に裂けやすく、枝毛と同じように粗雑なレザーカット、逆毛、過度の乾燥、アルカリ破壊、髪の栄養不足などがこのトラブルを引き起こします。多孔性毛から進んで裂け毛になることもあります。いったん裂けたものは元に戻ることはないのでカットするしかありません。毛によって、裂け毛を起こしやすい性質のものがあるので、新たにできないようにすることが大切です。
毛に白いものが付着しており、毛先に向かってしごくと移動します。これは毛を強く引っ張る習慣、ゴムやひもによる結髪、ブラッシング、くし入れ等によって、それまで皮膚内で組織に密着していた内毛嚢・外毛嚢がさや状(円筒状)にはがれ落ち、毛が伸びるのに伴って外へ出てきたものです。毛を引っ張る習慣のある人すべてに生じるのではなく、生じやすいタイプがあり、例えば頭皮が乾燥性の人に多いようです。主として側頭部・頭頂部・毛渦部に発生し、不潔な外観を与えます。さやを取り除こうとすると、どうしても毛を引っ張ることになり、新しい発生を誘うので好ましくありません。洗髪によって自然に除去すべきです。改善された後も、くしやブラシで髪を引っ張ることのないようにしましょう。
これには、先天的なもの(遺伝)、後天的なもの(乳児期の高熱等)があります。先天性なものでは思春期前期から目立つケースが多いようです。人種的に言うと黒人の毛は縮毛に属します。縮毛は皮膚内に入っている部分がすでに湾曲しており、湾曲の程度によって縮れ方も異なります。直毛の断面はほぼ円形ですが、縮毛の断面は扁平でいびつです。毛は硬く、赤っぽくてつやがなく、切れやすく伸びの悪い状態が多いようです。今のところ後天的なもの以外は根本的な改善は不可能で、パーマによる一時的な矯正ができるだけです。
毛髪のトラブルで一番多いのがこれです。毛表皮が破壊されて、そこから皮質・髄質が飛び出して、毛表皮と皮質の縦の結合組織のみが残るため、その部分が肉眼では白く見えます。この部分で毛は折れやすく、枝毛や裂け毛につながります。また毛の異常乾燥や手荒なブラッシング、逆毛、薬物による破壊等もこの原因となります。
脂漏性の結節性裂毛は、過剰な皮脂によって成長移行部の毛包になんらかのダメージが与えられ、毛表皮が完全に形成されないために生じるとされており、頭皮面から0.5~2cmのところで切れ毛となることが多いようです。いったん裂けた毛は、元に戻ることはないので、時がきて自然に抜けるのを待つか、その部分をカットするしかありません。
毛は硬たんぱく質と呼ばれるケラチンでできているため本来きわめて丈夫であり、理・美容室で行われているドライヤー・アイロンなどの熱処理にも充分耐えられます。しかし、個人差による毛質の相違(太さ・硬さ・トラブルの有無等)や、加熱時の髪の状態(濡れているか乾いているか)、加熱時間、処理の手ぎわ、あるいは併用する薬物との関係などによって、ときに損傷を与えることがあります。特に適切でない薬物処理と熱処理とが重なると、薬物の科学的活性が毛の組織を破壊し、毛がゴム状に伸びて切れてしまうことがあります。こういう場合は、たとえ酸性処理をしても縮まないばかりか、むしろ破壊を一層促してしまします。
*毛髪は皮膚より強い抵抗力をもっていますが、熱による限界点は120度くらいまでです。130~150度以上の熱を加えていくと、毛髪は膨らんで変形を起こします。250度前後のアイロンを約1分間毛髪の表面に当てると、その部分の毛小皮は溶解します。
アルカリにより膨潤した毛に対して局所的にロッドやゴムで急激な圧縮が加わり、その部分だけ毛が扁平に押しつぶされ、元に戻らない状態をいいます。パーマを頻繁にかける人に多くみられ、パーマはかかりにくくなりますが、注意すれば当然裂けられるものです。いったん押しつぶされ曲がってしまった毛は、もう治らない場合が多いようです。
アルカリ性の薬剤等の使用により、毛の皮質細胞間を満たしている間充物質が極度に軟化し、毛表皮の穴や隙間から流れ出し、そのためケラチン繊維の結合がゆるんだ状態です。弾力性が失われ、光沢のないガサガサした毛になります。なりやすい毛となりにくい毛がありますが、いったん多孔性毛になった毛は元の毛質に戻りません。多孔性毛は乾燥しがちですが、隙間が多いのでひとたび水を含むと極めて膨潤度が高くなります。また、結節性裂毛や切れ毛・枝毛の原因となります。乾燥したタオルでゴシゴシふくと毛を痛めます。
生理的に正常な老化に伴う白髪は、30代後半から始まって、次第に増加していきます。これに対して、もっと早い時期から白髪が発生するものを若白髪といいます。一般に、前額側頭に始まって頭頂部へと広がり、後頭部が一番後のようです。
毛母の一番下にはメラノサイトという色素細胞があり、毛乳頭の血管から栄養補給を受け、脳下垂体ホルモンの働きや、ある種の酵素の作用により、メラニン色素を作っていますが、白髪になってすでに長い期間を経た人の毛母には、このメラノサイトが見られないようです。また、白髪になったばかりの人では、メラノサイトの細胞内容物が少なくなっており、細胞の機能も低下しています。このことから、白髪はメラノサイトが消失するかあるいはその働きを止めることによって、皮質・髄質中にメラニン色素が生成されないため発生するものと考えられます。
メラノサイトがなぜ消失するかという点については現在まだ解明されていません。逆にメラノサイトの活動性を再び元に戻せば、白髪が黒くなることを期待できますが、今のところその方法は見出されていません。
もう一つの白髪の原因としては、皮質細胞間に空気が入り、これが光線を反射して白く見えるためとも考えられます。白髪の発生には、遺伝が大きく関与しています。また糖尿病・バセドー病・悪性リンパ腫・栄養失調・精神病等に伴って二次的にみられることもあります。これらは、病気自体が治ることによって白髪も治るようです。尋常性白斑でも病巣部の色素が脱色して白髪が生えます。早い時期に治療を受けないとメラノサイトが永久に失われる恐れがあります。また、円形脱毛症の治っていく過程で、白髪が生えてくることもありますが、後にはほとんど黒くなるようです。
水分が少なく、乾燥してガサガサした毛です。先天的なものと後天的なものとがあります。先天的なものは、頭皮から2~3cm伸びると毛先が縮れて切れます。後天的なものは、例えば薬品や物理的刺激によって毛表皮が破壊され、水分の出入りのバランスを失うことによって生じるものなどがあげられます。脱色した毛に多く、毛の太さは均等でなく、縮れています。
毛間が、一定でない小さな感覚で波を打った状態のもの。毛幹断面は真円でなく楕円形で、毛髪本来の力を失っていわゆるコシのない毛となり、光沢がなくなります。
一度痛んでしまった毛髪は元には戻りません。頭皮の状態が良くなかったり、身体が健康でないとなかなか髪まで栄養がいきわたらず髪の伸びるスピードも遅くなっていきます。流さないトリートメントを使うことや、安いシャンプーを使うのではなく頭皮に良いシャンプーを使ったり、育毛剤で栄養補給をすることなど、日々の努力で髪を健康的に美しくキープすることができます。自身の毛髪トラブルの種類をしっかり理解して、適切な対応ができるよう心がけましょう。