こんにちは、毛髪技能士の横溝です。
みなさんは薄毛とヘアサイクルの関係性についてご存知ですか?実はヘアサイクルと脱毛には深い関係性があります。
今回はヘアサイクルの乱れがなぜ脱毛を引き起こすのかについて説明していきます。
ヘアサイクルには成長期(2~6年)、退行期(2週間~1か月)、休止期(3~5か月)という期間があるのですがヘアサイクルが乱れると成長期が急激に短縮し2~6年あったものが数か月~1年となってしまうのです。つまり正常時に比べ、ヘアサイクルが乱れているときは髪の毛が頭皮にキープされずどんどん抜けてしまうということです。
ヘアサイクルが乱れてしまう主な原因は加齢、間違った頭皮ケア、ストレス、生活習慣、AGA(男性型脱毛症)などです。加齢ともに抜け毛が増えてしまうのは、ある程度仕方のないことですが、それ以外の原因は本人次第でしっかり防ぐことができます。
役割を終えた髪が抜けていくとき、頭皮の中にある毛根では次の髪の毛が成長する準備が行われています。
毛は毛母細胞の分裂によって作られ成長するのですが、毛根の中に髪の毛を作り出す「毛包」と呼ばれる組織の最下部の玉ねぎのように膨らんだ場所に「毛乳頭」と呼ばれる部分があります。毛乳頭には毛細血管が入っており、栄養分を毛母細胞へ補給する役割と髪の毛の成長を促したり、止めたりする指示を出す役割をしています。髪の毛を成長させる指示を受けた毛母細胞は、細胞分裂を繰り返し、ケラチン(アミノ酸が結合してできたたんぱく質)が髪へと変化し、毛根より上へと押し上げられ髪の毛となります。髪の毛は1日に0.3~0.5ミリ伸び、一年間で約15センチ伸びると言われています。人間の頭髪の数は、母親の胎内にいるときにすでに決まっていて生まれてからその数が増えるということはまずありません。頭髪の数は平均10万本と言われていますが、少ない人は6~7万本、多い人だと13~14万本と個人差が大きいようです。
人間の毛にはヘアサイクルがあって、多少の変動はあっても、毎日ほぼ同じくらいの本数が自然に抜けています。髪の毛が抜けるのは、ヘアサイクルの休止期に入り、髪の寿命・役目を終えた髪の自然なメカニズムです。では、頭髪の場合は1日に何本くらいが抜けているのかといいますと、毎日約100本程度の髪の毛が抜けています。100本というと大量だと感じる方も多いでしょうが、この本数は自然な生理現象の範囲とされています。また100本のうち半分はシャンプーの際に抜けると言われています。
抜ける髪の毛には、大きく分けて2つの役割があります。
まず一つ目は、紫外線や気温の変化、衝撃などから頭部を守るクッションとしての役割、二つ目は、汗などと同じように身体にとって不要なものを外へ排出するという役割です。
髪の毛は水銀・鉛・カドミウムなどを取り込み、2~6年程のヘアサイクルを経て、体外へ排出するという働きをします。役目を終えた髪の毛が抜けることで、健康な髪を常に一定に保ちながら、新しく元気な髪をまた生やし、健やかな頭部を守っているのです。
外食ばかりの生活や偏った栄養バランスの食事、飲み会での暴飲暴食など・・・そんな食生活を送ってはいませんか?髪の成長に必要な栄養素をしっかり届けることができないと、育毛には悪影響を及ぼします。また脂質の過剰摂取は頭皮の皮脂を増やしてしまうので脂漏性皮膚炎などのリスクを高めてしまいます。栄養バランスの良い食事を摂取できるように毎日心がけてみてください。もしどうしても栄養バランスの良い食事を毎日とることが難しいのであれば、髪に必要な栄養素を補うためにサプリメントを取り入れてみるのもいいと思います。健康な髪は健康な体から生えてきます。髪は体の一部であるのでまずは食生活を改善し、健康な体を作りましょう。
1日30分以上のじわりと汗をかく運動が効果的です。特に有酸素運動であるウォーキングやジョギングがおすすめです。運動不足は血行不良を招きますので、髪の成長に必要な酸素や栄養素を頭皮に届けることができなくなってしまします。すると育毛にも悪影響を及ぼしてしまうのです。また運動は肥満の解消にもつながります。実は肥満と薄毛は密接に関係しています。肥満体と健康体ではまず汗の質が違います。健康な人の汗はサラサラしていて蒸発しやすい特徴があるのに比べ、肥満の人の汗はベトベトしていて蒸発しにくいのです。質の悪い汗は頭皮と毛穴にこびりつき髪の毛の成長を妨げてしまうのです。他にも太った人はドロドロした血液のタイプの人が多いのですが、髪に栄養を届ける毛細血管はとても細い血管なので、ドロドロの血液では栄養をいきわたらせることができないのです。適度な運動は髪にも体にも大切です。
睡眠時間が極端に短かったり、眠りが浅いなどの質の悪い睡眠をしていませんか?髪の成長は夜が一番活発になります。つまり夜のうちに髪を成長させることが非常に効率的なのです。人は熟睡していると「成長ホルモン」と呼ばれる体の成長や修復を促すホルモンが分泌されます。逆に睡眠の質が悪いと日中のダメージを回復できないのです。22時から成長ホルモンのゴールデンタイムと言われていますが、なかなか22時までに眠りにつくなんてことはできないと思いいます。なのでできるだけその日のうちに寝るように心がけてください。しっかりとした睡眠時間を確保できない場合は少しでも睡眠の質を高めるためにゆっくりお風呂につかるなどしてリラックスするようにしましょう。睡眠不足の解消が元気な髪の毛を育てるためには必要です。
ストレスと脱毛は非常に密接に関係しています。強いストレスを慢性的に受け続けると、精神的にも肉体的にも悪影響を及ぼします。人はストレスを受けると自律神経が乱れ、自律神経失調症や神経性胃炎などを引き起こす可能性があります。それは育毛にも育毛以外にも悪影響を及ぼしてしまうのです。「ではストレスを受けなければいいはず!」と思っていてもなかなか現代社会でストレスを受けずに生活するのは困難であると思います。ではどうすればいいのか。それは「ストレスを受けたあとにしっかり解消する!」ということです。人によってストレス解消方法は違いますが、自分の好きなことをする時間、リラックスして過ごせる時間を持つようにするといいでしょう。それは寝ることであったり、趣味に没頭することであったり、体を動かすことであったり・・・自分に合った方法を探してストレス解消をしてみてください。
ヘアサイクルを整えるにはシャンプー方法や選び方にも注意が必要になってきます。脱毛が気になってくると頭皮をきれいにしようと刺激の強いシャンプーを使ってしまったり、強く洗ってしまったり、1日に何度も何度も髪の毛を洗ってしまったりと極端になりがちです。髪を洗いすぎると頭皮をを傷つけて炎症を引き起こしたり、頭皮のバリア機能を奪う可能性があります。皮脂は落としすぎてしまうと「もっと頭皮を守らなくては!」となり、さらに余計な皮脂を分泌してししまい、頭皮環境の悪化を招きます。また髪の毛があって気が付きませんが、基本的に頭皮とは非常にデリケートな部分です。洗浄力の強すぎるシャンプーが頭皮にいいものとは限りません。髪と頭皮両方のことをしっかり考えて、頭皮にやさしいアミノ酸系シャンプーを選ぶといいでしょう。正しいヘアケアを行うことがヘアサイクルの乱れを整えます。
喫煙すると人の体にはどんな変化が現れるでしょうか?タバコにはニコチンが含まれているのでそのニコチンが毛細血管を収縮してしまい血行不良に陥る可能性があります。またニコチンなどの多量の有害物質が体内に送り込まれることでそれを攻撃するために多量の活性酸素が発生します。その活性酸素と戦うために消費されるのがビタミンCなのですが、ビタミンCは育毛に欠かせない成分です。つまりタバコを吸うと髪に必要なビタミンCが大量に奪われることになります。喫煙と薄毛の関係性については医学的に根拠がきちんと証明されているわけではないのですが、髪に必要な栄養素を不足させてしまうことは先述した通りなので、薄毛の悩みを抱える方はなるべく喫煙を控えることが望ましいでしょう。
自分自身のヘアサイクルが正常なのか、そうでないのかを理解することにより正しいヘアケアができるのではないでしょうか。
乱れてしまったヘアサイクルの改善には6か月以上必要で、すぐに正常なヘアサイクルを取り戻すことはできません。毎日の努力の積み重ねがとても大切になってきます。ヘアサイクルを戻すための方法はいくつもありますがまずはどれかひとつでも毎日続けられそうなものを選んでみてください。あなたがもし死ぬ間際まで髪の毛が生えていてほしいと思ったら、死ぬまでヘアケアを続けなくてはいけないのです。それはつまり自分自身の生活の一部としてヘアケアを取り込むことができれば、毎日の日課になれば苦しみなく続けることができると思います。
抜けてしまった毛に対して不安に思うのではなく、今ある毛やまだ見ぬこれから生まれてくる毛に対して、しっかりケアしながら元気な毛になるように育てていきましょう。