あなたはどの脱毛タイプ?毛髪トラブル~脱毛編~


20311233 – hair loss in humans

脱毛といっても種類はさまざま。

こんにちは、毛髪技能士の横溝です。

乾燥肌、ニキビ肌、シミ、しわなど肌トラブルにも色々あるように脱毛といってもその種類・原因・対策は様々です。「最近薄毛が気になるー!なんでもいいから対策しないと!」と自分の脱毛タイプを知らないまま、適当に薬局やホームセンターに売られているシャンプーや育毛剤を試していてもなかなか効果は期待できません。なくなる毛をはやすということはそんなに容易いことではないのです。まずは脱毛についての基礎知識を高め、自分の脱毛を理解し、適切な対応をしましょう。
今回は脱毛の種類について説明します。

脱毛の種類

脱毛の種類は主に3つのタイプに分けられます。脱毛が全体的に起こる粃糠性脱毛(ひこうせいだつもう)、頭頂部やおでこから脱毛が進む脂漏性脱毛、神経性の要因により脱毛する神経性脱毛です。ではそれぞれ詳しく見ていきましょう。

①粃糠性脱毛(ひこうせいだつもう)

限定された部位ではなく、全頭に広範囲に起こる脱毛です。ただし完全脱毛に至ることはまずありません。
乾性のフケに神経性の原因が加わって起こるものです。フケが多いということは頭皮に異常が生じていることを示しており、その異常は毛包やさらには毛乳頭の活動にも影響を与えています。自律神経の失調による血行阻害が絡んで、細胞増殖過程にあった毛根が異常角化を起こし、毛の急激な脱落を促すものと考えられます。
この場合、神経性の要因といっても、神経性脱毛の場合のように突然で顕著な変化をきたすものではありません。未熟なまま角化した毛母細胞を含む組織が一部付着して脱落するため次に生えてくる毛は細くなり、ヘアサイクルも短くなります。
なお、このタイプは糖尿病患者に多いところから見て、インシュリンも関係するのではないかと思われます。また、甲状腺ホルモン・副腎皮質ホルモンが関係して脱毛するケースもあります。脂漏性脱毛と合併したものが非常に多く、これを粃糠性脂漏脱毛と呼んでいます。
抜けた毛のマイクロスコープによる観察では、比較的毛根が大きく、その下端にシッポ(毛母細胞を含む組織の一部)がついて見えます。また、毛包の組織が付着しているものが多いようです。
人によって異なりますが、改善には長期間を要し、毎日洗髪する必要があります。

②脂漏性脱毛(しろうせいだつもう)

一般的には、ねっとりと脂っぽいフケが相当期間続き、それがでなくなってきたころから脱毛が始まります。すなわち皮脂腺分泌増加が継続することによって起こります。
皮脂またはその分解物のために毛包の機能が阻害され、毛を作り育てる機構そのものの全体的なバランスがくずれて毛根が委縮・異常角化するとともに、通常は50グラムあるという固着力を失って脱毛に至ります。若ハゲといわれているものの多くは、この脂漏性脱毛です。男性ホルモンが関係するらしく、男性に多く見受けられます。一方女性にも起こりますが、目立ちにくいだけです。前頭部・頭頂部・側頭部など、左右対称的に限局して始まり、初めのうちは比較的急速に脱毛しますが、その後はゆるやかな進行となります。毛は次第に細くやわらかくなり、褐色化します。なお、脂漏性湿疹に伴って急激な脱毛を見ることがあります。これは炎症が加わったことによる影響が異常脱毛を促しているということです。
マイクロスコープを使って自然脱毛の毛髪の毛根を調べると、毛根の下端両側に小さな突起があるのが特徴で、毛根はやせて細いです。改善されてくると、だんだんと毛根が太くなり、ギターの銅のようにくびれて見えてきます。これは細胞の増殖作用が回復しつつある徴候と考えられます。また、炎症性(脂漏性湿疹)の場合では、毛根の原型が見られず、剥離して付着する毛根組織との境目も不鮮明です。炎症のある場合を除き、毎日洗髪することが望ましいものです。なお、トラブルの程度にもよりますが、改善には長期間を要します。

③神経性脱毛

神経性の要因により起こる脱毛ですが、粃糠性の場合よりも変化が急激で、それが見た目にも著しいものをいいます。
神経的な原因、すなわち不安・落胆・緊張・知的過労などによる自律神経の失調が毛細血管を収縮させ血行を阻害し、そのため毛乳頭の働きが低下し、毛の発育が妨げられ、毛根が細くなり、皮膚固着力が急激に弱くなったため脱毛します。転職による心労の積み重なり、肉親の死、あるいは交通事故によるショック・・・というようにさまざま例があります。さらに、頭部の外傷によって、その受傷部位と反対側の対象部位に脱毛が生じることがありますが、これも神経性脱毛の一種とみなしてよいでしょう。なお、このような状態を、円形脱毛症ともいいます。幼児から老人まで年齢的には幅広くみられますが、性別では比較的男性に多く、痛みやかゆみなどの自覚症状がないまま毛が抜け始めます。1個(単発性)または2個以上(多発性)のほぼ円形状の脱毛斑を生じますが、蛇行状に毛が抜けることもあります。また、隣のものとつながり、ついには頭部全体から体毛にまで広がることもあります。

マイクロスコープでこの頭皮を観察すると、皮膚毛細血管の委縮により、頭皮は白っぽく弾力性を失い、また、毛の抜けた部分だけややくぼんでいます。これは一つには毛細血管委縮に伴う栄養障害による「やせ」のためであり、また一つには毛髪が脱落したことによって毛髪で占められていた毛包孔が陥没したためであると考えられます。周辺の毛は引っ張るとたやすく抜けます。放置しておいてもう数か月で治る場合もありますが、再発を繰り返したり(いったん全治しても3分の1は再発するという)、中には数年も治らないものもあります。幼児や老人の場合は、治るのに比較的時間がかかり、治り始めにその部分だけ白髪が生えることもあります。これは毛細血管の委縮によるメラニン色素の生産低下で白髪が出るのです。
抜け落ちた毛をマイクロスコープを用いて観察すると、毛根の部分が鉛筆のように細く、毛根部に角化できなかった髄質が黒く不透明に見えます。改善過程を眺めてみると、2つのタイプに分かれます。すなわち、①張りのない皮膚に光沢の乏しい産毛(仮発毛)が生えては抜ける場合、②張りが出てきて、本来の毛と同じ太さの毛が生えますが、1センチくらいで切れてはまた生える場合です。①のほうが悪性ですが、①から②へと移行することもあります。②のタイプはほとんど再発しません。また、②がさらに改善されてくると太い部分と細い部分とが交互にあらわれ、チリチリとねじれた毛が見られることが少なくありません。これは毛根の成長移行部に依然残る神経系統のアンバランスが原因して、毛が円筒状に形成されないのではないかと思われます。また、このころの毛根をマイクロスコープで見ると、生姜の根のようにコブがたくさんついています。これはまだバランスは取れていないながらも細胞増殖がさかんになってきたことを示しています。
いずれにせよ、円形脱毛が改善されて正常に戻るためには頭皮に健康的な張りが出てこなければなりません、いつ治るかはその時まで判断することは難しいものです。また、男性では毛髪から体毛の順で治りますが、女性は体毛から毛髪の順となることが比較的多いようです。

最後に

ひとえに脱毛といってもタイプが違えば対処方法も変わってきます。神経性脱毛の場合は脱毛の原因となっているストレスを究明し解消しなくては改善はなかなか難しいですし、粃糠性脱毛・脂漏性脱毛は体質改善を含め、各々適切な育毛活動を行わなくてはなりません。自分がどの脱毛タイプなのかをしっかりと把握し、自分に一番適した方法で育毛活動を行うことが発毛への近道です。最善の方法がとれるよう、頭皮、髪、抜け具合を観察してみてください。


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