「元気な髪」を育んでいくために、絶対に抑えておいていただきたいポイントを紹介していきます。
育毛を志す方はもちろん、髪トラブルにお悩みの方、未来向けたスカルプケアをお考えの方も、ぜひこの機会に髪と頭皮に関する知識を深め、正しいスカルプケアを考えるきっかけになれれば嬉しい限りです。
人間の進化を振り返ってみてください。もともと長い体毛が全身を覆っていたはずが、進化などに伴って頭部や陰部など身体の重要な一部分を残して体毛は退化しました。髪が残ったのは、生命維持に必要な組織だけをスマートに残していった人間の進化の賜物です。無くてはいけないもの。本来必要なもの。なわけです。
「脳」は生命を司る要です。外部からの衝撃で脳の機能が損なわれれば、すなわち死に直結します。髪は紫外線を遮り、外気から脳と皮膚を守り、衝撃を吸収する軽くて優れた「ヘルメット」の役割を果たします。
さらにすごいことに、この「ヘルメット」は体内に取り込まれて長期的に蓄積した有害物質を体外に排泄して、健康を維持する役割も担っています。髪はどこまでも機能的で、且つ美しい体組織なのです。
先鋭的な進化の過程で残った「髪」について、その構造と一生について簡単に紹介してみます。
髪の毛は約80%以上がケラチンと呼ばれる18種類のアミノ酸から作られるタンパク質でできています。これらのアミノ酸は食事から摂取されます。
髪の毛の根元の丸みを帯びた部分を毛球といい、そこに毛細血管から運ばれる栄養素から髪を作りだす毛母細胞が集まっていて、1カ月に約1cmのスピードで髪を作りだします。毛乳頭はその毛母細胞の増殖をコントロールしています。
髪は一定期間成長した後に抜け、生え変わりを繰り返します。これをヘアサイクルといいます。10万本あると言われる髪は1日に約50本生え変わりのため抜けます。
生命維持に深く関係するだけでなく、健康維持として機能も担っているはずの髪が、薄くなるということは、本当はあってはいけないことです。にもかかわらず現実に髪が薄くなるのには原因があります。
髪のボリュームがない(地肌が透けるなど)、生え際が上がった、など薄毛についての最初の指摘は、家族や友人・行きつけの美容師さんなど、他人からのケースが多いでしょう。これは、自覚という意味では年齢や環境などが譲歩された甘い自己評価となる人が多いためです。
髪ボリュームは、髪密度の低下と髪のハリコシ低下が原因です
健康な頭皮の状態であれば、一つの毛穴から3~5本ほどの毛が生えています。しかし地肌が見えてしまったり、ボリュームが減ってしまった頭皮の状態では一つの毛穴から1~2本の毛しか生えていません。髪密度が減ってしまっているのです。毛髪のボリュームアップのためには髪密度を上げることが重要です。
日本人の髪の毛の太さは平均はおよそ0.08mmです。髪が太い人の髪は弾力があり、硬いから太いのです。それに比べ、髪が細い人の髪は弾力がなく、柔らかいです。髪の太い細いは生まれつきの要因も大きく影響しています。
男性は20台後半、女性は30代後半からだんだんと細くなっていきます。髪を太く育てることができれば頭髪のボリュームは断然変わってきます。
原因は大きく分けて「内側の問題」と「表面の問題」があります。それぞれの原因は互いに相乗的に作用しあい「血行不良」「毛根の委縮」という2つの大きな問題となって、薄毛を進行させます。
・偏食や食生活の乱れ
・男性ホルモンによる悪影響
・心の許容量を超えたストレス
・毛母細胞の衰え
・頭皮の汚れ・毛穴の詰り
・皮脂バランスの乱れ
薄毛の原因を「体質のせい」とか「遺伝のせい」と決めてしまうのは軽率です。もちろん体質や遺伝が他の人より不利な条件となることは確かにありますが、男性ホルモンが強い全員が薄毛になるわけではありません。「血行不良」「毛根の委縮」という2つの問題解決を目指すことが、薄毛予防には最も効果を発揮するのです。
「いつまでもあると思うな親と髪(金)」と冗談でなく、薄毛を他人事のように思っている人は、あとで必ず後悔するでしょう。失って初めてありがたみが分かります。育毛は1日にして成らず。弱くなってしまった髪をもとに戻すのは簡単にはいきませんので、日頃からしっかり考えて過ごすことが重要です。
髪は本来必要で生えているものですが、そのままにしておくと様々な原因で健康を損ねていきます。いつまでも「元気な髪」を維持するには、髪が健康を損なう理由を理解し、それらに対して正しい頭皮ケアを続けていくことが必要不可欠なのです。
特に頭頂部や前頭部の皮膚は、側頭部などに比べて硬くなりやすいと言われています。その一番の理由はズバリ重力です。残念ながら重力だけは誰しも逃れようがありません。他にも、皮脂汚れによる炎症や紫外線に当たること、乾燥なども頭皮を硬化させる原因になります。頭皮の硬化は毛根を委縮させ、髪密度の低下と髪のハリコシ低下に繋がっていきます。
頭皮の弾力UPには毛細血管の流れを良くして代謝を高め、常に保湿を怠らないことが重要です。また、側頭部の頭皮を寄せて上げるようにマッサージするのもとても有効です。
血流とは、身体をめぐる血の流れを指します。たっぷりと豊富な血液が、さらさらと流れやすい状態であることが「血流UP」の条件になります。めぐりの良い血液は、体組織の細部まで行き渡り代謝を高めます。髪が成長する為の栄養素も血液から運ばれるため、毛根にたくさんの栄養が運ばれることになるのです。
血流UPは、健康のうえでも非常に重要です。体が不健康では元気な髪は生えてきません。髪を「ヘアケア」という局地的なケアに限定せず、広い視野で体の健康を促進することが、髪の健康にもつながるのです
頭皮では身体の中でも最も多くの皮脂が分泌されます。皮脂は本来皮膚を守るための保護膜の役割がありますが、必要量より多すぎる皮脂は酸化して肌や毛穴に悪影響を及ぼします。ストレスや紫外線などによる乾燥も皮脂を過剰に分泌させる原因になりますが、シャンプー剤の洗浄成分によって本来必要な皮脂まで取りすぎてしまうことも、皮脂の過剰分泌に繋がります。皮脂は肌を守る目的があるため、必要な皮脂まで取りさってしまうと、それを補うためにさらに多くの皮脂を分泌させるという習慣がついてしまうのです。
頭皮の皮脂を適正に整えるために最も重要なことは、適切な洗浄と保湿です。保護膜の役割を持つ必要な皮脂だけを残しつつ洗う選択洗浄を行い、洗髪後にはしっかりと保湿して、皮脂分泌量を適正に整えてあげることが、何より重要なのです。
薄毛の原因を「男性ホルモンのせい」とか「遺伝のせい」というのをよく耳にしますが、だからと言って必ず薄毛になるわけではありません。男性ホルモンがどのように悪影響を及ぼすのかを正しく理解して、相応のケアをしていくことが大切です。
男性ホルモンが5αリダクターゼという還元酵素と結びついて作られる悪玉ホルモンDHTが、毛根にある皮脂腺を刺激して、皮脂をたくさん分泌させます。このDHTが作用するのも、前頭部から頭頂部にかけてが最も活発といわれます。
同じく悪玉ホルモンDHTは、まだヘアサイクルの成長期にある毛根に対して脱毛シグナルを発し、異常脱毛を誘発させます。これらを予防するためには、5αリダクターゼの働きを抑止して悪玉ホルモンDHTが生成されないようにするのが有効です。
いつまでも元気で自慢の髪を維持するため、
頑張ってケアしていくことを応援します。